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 暦部 日食・月食の周期

理科年表 平成30年
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図1


 図1のように,月の軌道は太陽の軌道に対して約 5.1度傾いているため,その交点付近で朔や望になる時にしか食は起こらない.太陽は 1年で軌道を1周するので交点付近に来るのはおよそ半年に 1回,したがって,つぎに日食(月食) が起こるのはだいたい半年≒ 6朔望月後の朔(望)だろうと予測がつく.
 本来ならば観測によって周期を求めるのが筋であるが,手っ取り早く調べるには理科年表を用いるとよい(「近時の日食」「近時の月食」参照).ある日食からつぎの日食までの時間差を求め,それを朔望周期( 29.530589日)で割ってみよう.確かに,ほとんどの場合は 6朔望月後で,たまに 5朔望月後や 1朔望月後があることがわかる.長期間にわたって調べてみれば,6,5,1朔望月の順番に周期性があることにも気づくだろう.
 日食の様子は月がどの程度太陽を隠すか,すなわち朔における太陽と月の離角で決まるが,これは交点からどれくらい離れているかという問題に置き換えることができる(図2).後者は交点を基準とした月の公転周期である交点月(27.212221日)からおおよそ予測できる.


図2

 さらに,ちょっと計算すれば 242交点月は 223朔望月にほぼ等しく,18年と 11日ほどになることもわかる.つまり,ある日食から 18年と 11日後に太陽と月は交点から同じくらい離れた場所で再び出会うわけである.じつは,先の6,5,1朔望月の順番もこの周期で一巡している.この周期はサロス周期と呼ばれ,紀元前の時代から食の予測に使われてきたというから,古代の人々の観察力には驚かざるを得ない.
 なお,太陽と月の視半径はどちらも 0.25度ほどだから,両者が0.5度以上離れると重ならなくなる(=日食にならない)と思うかもしれない.ところが,月はたいへん地球の近くにあるため,地球の中心から見て太陽と月が重なっていても,地球の端から見れば約 1度すなわち月が丸 2個分ほどずれて見え,重ならない.
 逆に,太陽と月が約 1.5度離れていても部分日食は起こりうる(図3).


図3


5.1度という軌道の傾きから,この条件は交点から±約 17度以内,太陽が 1日約 1度の割合で動くことから,合計 34日ほどの期間のどこかで朔となればよいことになる.ところが,朔望周期はこれより短いので,端で部分日食となった 1朔望月後,他の端で再び日食が起こる場合がある.この場合,一方は地球の北端,他方は南端(*1)で見られること,その間にある望は交点に近いので食分の大きな月食となることは容易に想像つくだろう.平成23年(2011)はまさにそういう状況となっている.
 月食についても太陽の代わりに地球の影を用いるほかは同様に考えればよいが,月食のほうがより交点近くでないと起こらない.部分日食がやっと起こるような条件下では,月面において地球が太陽の一部を隠す部分日食となるだけで,これは月食にカウントされないからである(*2).

【片山真人】

*1 ただし,地球の自転軸と太陽の位置関係により北端=北極点,南端=南極点とは限らない.
*2 これを半影月食という.