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  なぜ地球は太陽の周りを回っているのですか?

理科年表 2020
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 太陽系には地球と太陽のほかにも惑星や小惑星などが存在していて、それらとの相互作用も存在するのですが、ここでは単純のため、地球と太陽だけがあると考えることにします。地球と太陽は重力によって相互作用しています。2 つの物体にはたらく重力は物体の質量に比例して強くなり、また距離の 2 乗に反比例して弱くなります。ニュートン力学によれば、重力的に束縛された 2 つの物体があるときには、それらは共通重心のまわりを楕円軌道を描いて運動します。これはケプラーの第 1 法則として知られています。仮に地球と太陽の質量が等しいとすると、共通重心は地球と太陽の中間地点になりますが、質量が異なる物体同士の場合は質量の大きな物体に近くなります。

  理科年表平成 19 年版によれば、地球の質量は 5.974 × 1024 kg、太陽の質量は 1.989 × 1030 kg、地球から太陽まで距離は 1.496 × 108 kmです。太陽の中心から地球と太陽の共通重心までの距離は ( 地球太陽間の距離 × 地球の質量 ) ÷ ( 地球の質量+ 太陽の質量) を計算することで求めることできます。実際に値を代入して計算してみると 449 km となりました。太陽の赤道半径は 696,000 km ですから、太陽の大きさを考えると共通重心は太陽の赤道半径に対してわずか 0.06 % の距離の所にあることがわかります。したがって、太陽と地球の共通重心は太陽の中心とみなしてよいと言うことができます。つまり、地球と太陽はその共通重心のまわりを楕円軌道を描いて運動しているのですが、太陽が非常に重いために共通重心が太陽の位置に等しく、地球が太陽の周りを回っているようにみえているのです。

図 1  左 : 共通重心の周りをまわる質量がわずかに異なる 2 つの物体の軌道を表した図です。中 : 共通重心の周りをまわる質量のより異なる 2 つの物体の軌道を表した図です。右 : 共通重心の周りをまわる質量の大きく異なる 2 つの物体の軌道を表した図です。物体の大きさは質量を表していて、大きい方が重い物体です。また、赤い曲線はその軌道を、赤い十字は共通重心を表しています。質量の違いに応じて共通重心の位置が変化していくのが見てとれるでしょう。
( http://en.wikipedia.org/wiki/User:Zhatt/graphics_created より転載)

 

 この地球と太陽の運動の起源については、太陽系が形成された歴史に深く関係します。太陽のような星は分子雲が収縮することで生まれたと考えられますが、このときに材料となる分子雲が適度な質量と角運動量を持っている必要があると考えられます。太陽が生まれる一方で、分子雲が収縮する過程で角運動量保存の法則から回転速度が高くなっていき、次第に円盤状の構造を示すようになります。この円盤のなかにある微量のダスト ( 塵、固体成分 ) が衝突・合体を繰り返して惑星が成長していき、地球をはじめとする惑星が形成されたと考えられています。地球が太陽の周りを回っているのはこの分子雲の回転成分の名残であるといえるでしょう。しかしながら、惑星形成理論ではまだまだ解決しなければならない問題も多く、現在も非常に活発に研究が続けられています。

【小野寺仁人 韓国・延世大学(2008年 7月)】

 

図 2  現在考えられている惑星形成の標準理論の模式図です。上から下へと進化します。
( http://www.geo.titech.ac.jp/lab/ida/STUDIES/basic_process.html を元に作成)