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 弾性に関する定数 金属も引っ張れば伸びる
物理/化学部
「弾性に関する定数」より
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理科年表 2022

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 固体の材料力学的な性質として、次の 3 つが考えられる。



1. 弾性 : 物体に力を加えれば変形するが、力をとり去ればもとの形状に戻る性質。

2.

塑性そせい: 物体に力を加えれば変形するが、力をとり去ってももとの形状に戻らず変形のままの状態を続ける性質。

3.

脆性ぜいせい: 物体に力を加えると、物体が破壊してしまう性質。

 実際にはどのような固体でも、多かれ少なかれこの 3 つの性質を兼ね備えている。ただ金属などは弾性としての性質が強く、粘土状のものは圧倒的に塑性であり、岩石などは脆性が顕著だといえよう。


 特に金属材料では、その弾性的な性質が深く研究されることになる。バネやゴムならいざしらず、金属を直接に引張って伸ばすなど、大変な力が必要ではないか、ということになろうが、まさにそのとおりである。しかし、大変な力でどの程度 実際はほんのわずかだろうが伸びるかは、材料工学的には重大な問題であり、いろいろな金属についてこの値が測定されて、これをヤング率といい で書く。数値的には、 1 m のものを 1 m 伸ばすのにこんなとんでもない伸びは実際には起こり得ないが 断面 1 平方メートル当たり何ニュートンN の力が必要かの数値で記載する。この表にあるように、 1010 という途方もない大きな値になってしまうが、金属同士の比較という意味ではおおいに有用なのである。数値が大きいほど、大きな力を必要とする。したがって伸びにくい物質になる。軟鉄、鋼鉄は伸びにくく、鋳鉄はやや伸びやすい。銅、銀、金はそれより伸びやすい、ゴムは誰にもわかるように伸びやすいから当然ヤング率は小さいが、表中で 1.5 × 5.0× 10-4 とあるのは、表の数値の単位が 1010 だから、実際には1.5−5.0× 106Pa == N/m2であることを忘れてはならない。つまりゴムは同一形状、同一の力で、金属よりは 10 万倍ほどよく伸びるのである。


ヤング率


 ずれの弾性率 というのは、固体をひしゃげるのに必要な力の大きさをいう。 1 ラジアン57°17'44.8"ひしゃげるのは、上面に平行方向に、毎平方メートル何ニュートンの力を要するかという数値であるから、想像しただけでも途方もなく大きなものであり、実際には の値の何割かになるのが普通である。金属などが伸びることと、断面の長方形を平行四辺形的に変形させることは一応別問題であり、両者の数値が表に掲載されることになる。


ずれ弾性率


 長い金属棒などを引張って伸ばすとき、横にどれほど縮むかは、物質ごとに違う。もし体積一定なら縮みはすぐに計算できるが、引張ったがために全体積が変わるのが一般である。縮みの割合を伸びの割合で割った数値をポアソン値といい σ で書く。この σ は理論上 0.5 よりも小さくなる。


ポアソン比


 もう 1 つ体積弾性率 k というものがあり、これは物質のあらゆる部分に圧力をかけて、もとの大きさと同じだけ縮めるのに 理論上は −Δ V/V = 1 ということ 単位面積当たり何ニュートン必要かの数値をいう。もとの大きさだけ縮めれば、物質はなくなってしまうではないか、というのはあくまでも理屈であり、実際にはとてもとてもそんなに縮むわけではない。ただし k だけは固体以外に、液体にも気体にも適用される。


体積弾性率



  、 σ 、 k を弾性定数というが、実際にはこのうち 2 つだけが独立した値であり、 2 つがわかれば他の 2 つは計算によって導き出されるものである。


 物性物理学では、 k の代わりに逆数の κ κ = 1/kが用いられることが多い。物体に 1 パスカル= N/m2 ) の圧力をかけると、もとの大きさに対して、どれほど縮むのかの数値であり、表にみるように、 たかが 1 パスカルでは1000 分の 1 程度である。

【理科年表編集委員会(2006年11月)】