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  気温の最高および最低記録
気象部
「気温の最高および最低記録」より
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 気温に限らず、ある期間に観測された値の最大値 最高値または最小値最低値を気象庁では「極値」と呼んでいる。また、最大または最小の値が発現した日を極値の起日といい、同一期間内に極値となる値が 2 個以上現れた場合は、起日の新しい方を極値としている 気象観測統計指針第 2 章参照 )。
 例として期間を特定の月にとれば、東京における 2007 年 8 月の最高気温の極値月最高気温 は 37.5 ℃ である。また期間を年にとれば、札幌における 2006 年の最低気温の極値年最低気温は −12.3 ℃ である。さらに最近 10 年間、あるいは 1971 〜 2000 年の 30 年間など複数年を期間とした場合は累年の極値という。累年の極値は統計年数によってその値が大きく異なり、一般的には年数が増すほど最大値は大きく最小値は小さくなる。最も長期間の極値が統計開始以来の極値で、これが更新されると話題になる。さらに全国で 1 位の極値が更新されると、そのニュースが紙面を賑わすことになる。なお、統計開始は観測開始と同じ場合もあるが、測器や観測点の移設などがあり、その前後の観測値が均質でないと判断された場合は、新たにその時点から統計を開始する場合もある。近年は利用者への便宜を図るため、ある程度不均質であってもできるだけ補正方法を見つけて統計を接続させるよう努力している。

 気温の測定方法とその変遷については「気温の月別平年値」の項で述べたが、気温の極値の観測方法は、 1970 年頃までは百葉箱内に設置した二重管最高温度計および二重管最低温度計 無通風を用いて、原則として午前 9 時から翌日の午前 9 時までの極値を観測していた。それ以後は通風筒に収納された白金抵抗温度計による連続観測値から、 0 時から 24 時までの極値を抽出するようになった。観測法の違いによる大きな系統的誤差はないが、無風で日射が強い日には百葉箱内の温度が外気温より高くなる可能性がある。
 2007 年 8 月は、各地で高温が話題になった。とくに中旬には厳しい暑さが続き、各地で日最高気温が観測史上 1 位の値を更新、 16 日には熊谷埼玉県、地方気象台 )、多治見岐阜県、アメダス観測所で 40.9 ℃ と、これまでの国内最高気温の記録を更新した。これまでの記録は、気象台や測候所では 1933 年 7 月 25 日に山形で観測された 40.8 ℃ であった。しかし、かつて各地で気象台が委託していた観測所の記録には、 1923 年 8 月 6 日に徳島県の撫養むや、現鳴門市、当時は板野郡撫養町 で観測された 42.5 ℃ があり( 気象年鑑、 2007 )、この記録はまだ破られていない。
 理科年表環境部 3 ページ「日本の年平均地上気温の平年差 1898 〜 2005 年」や当ホームページの「気温の月別平年値」の徹底解説からもわかるように、現在各地の気温は地球温暖化や都市化のため上昇を続けており、最高気温の記録は破られやすくなっている。それに対して同じ理由から最低気温の記録が更新される可能性はだんだん少なくなっている。
 これまでの国内最低気温の記録は、気象台や測候所では 1902 年 1 月 25 日に旭川で観測された −41.0 ℃ であるが、観測所の記録には、 1931 年 1 月 27 日に北海道上川支庁の美深 びふかで観測された −41.5 ℃ がある 気象年鑑、 2007 )。
 各地の気象台・測候所等における観測または統計 史上 1 位の記録の上位10 地点はのようになる。最低気温については、昭和基地と富士山を別にすると北海道勢が上位を占めており、 1 月の平均気温や日最低気温の平年値で見た傾向と一致する。一方最高気温については、関東・中部・東北南部の内陸が上位を占めていて、 8 月の平均気温の平年値では沖縄県の島々が、日最高気温の月平均値の平年値では近畿から九州にかけての西日本の地点が上位を占めていることと異なる傾向を示している。このことから、夏の猛暑は海風の影響を受けにくい内陸やフェーン現象の起こりやすい山岳の近くで現れるといえる。

【山内豊太郎(2008年 3月)】

表 1 1 月平均気温の平年値の低い方からの上位 10 地点、 1 月日最低気温の月平均値の平年値の低い方からの上位 10 地点、日最低気温の史上 1 位の記録の上位 10 地点
1 月 ・ 月平均気温の
平年値
低い方から上位10 地点
1 月・日最低気温の
月平均値の平年値
低い方から上位10 地点
日最低気温の史上
1 位の記録の
上位10 地点
順位
地点
気温
(℃)
順位
地点
気温
(℃)
順位
地点
気温
(℃)
1
旭川
-7.8
1
帯広
-13.9
1
旭川
-41.0
2
帯広
-7.7
2
旭川
-12.6
2
帯広
-38.2
3
雄武
-6.7
3
雄武
-11.5
3
倶知安
-35.7
4
北見枝幸
-6.3
4
倶知安
-10.7
4
網走
-29.2
5
倶知安
-6.0
5
釧路
-10.6
5
札幌
-28.5
6
網走
-5.9
6
広尾
-10.2
6
釧路
-28.3
6
岩見沢
-5.9
7
岩見沢
-10.0
7
雄武
-27.5
6
紋別
-5.9
8
網走
-9.8
8
北見枝幸
-26.4
9
釧路
-5.3
9
北見枝幸
-9.6
9
羽幌
-26.4
10
稚内
-5.0
9
紋別
-9.6
10
高山
-25.5
10
羽幌
-5.0
           

 

表 2 8 月平均気温の平年値の高い方からの上位 10 地点、 8 月日最高気温の月平均値の平年値の高い方からの上位 10 地点、日最高気温の史上 1 位の記録の上位 10 地点

8 月 ・ 月平均気温の平年値
高い方から上位10 地点

8月 ・ 日最高気温の月平均値の平年値
高い方から上位10 地点
日最高気温の史上 1 位の記録の上位10 地点
順位
地点
気温
(℃)
順位
地点
気温
(℃)
順位
地点
気温
(℃)
1
石垣島
28.9
1
大阪
33.0
1
熊谷
40.9
2
大阪
28.4
2
京都
32.9
2
山形
40.8
3
名護
28.3
3
日田
32.7
3
甲府
40.4
4
鹿児島
28.2
4
熊本
32.6
4
宇和島
40.2
4
与那国島
28.2
5
岐阜
32.4
5
酒田
40.1
4
久米島
28.2
6
名古屋
32.2
6
前橋
40.0
4
那覇
28.2
6
奈良
32.2
7
名古屋
39.9
4
沖永良部
28.2
8
広島
32.1
8
岐阜
39.8
9
名瀬
28.1
8
岡山
32.1
8
京都
39.8
9
宮古島
28.1
8
和歌山
32.1
10
伏木
39.7
9
南鳥島
28.1
8
佐賀
32.1
     

 

【 参考文献 】
『気象年鑑 2007 年版』、気象業務支援センター