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  太陽系外惑星、灼熱の巨大惑星、超巨大コアをもつ惑星
天文部 「太陽系外惑星系」より
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理科年表 2022

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  1995 年以来、現在までに約 200 個の太陽系外惑星が発見されており、それらは非常に多様性に富むものであることが明らかになってきた。

 「灼熱巨大惑星 (ホット ・ ジュピター )」と呼ばれる一群は、周期約 2 週間以内で公転する短周期惑星で、現在までに約 50 個知られている。中心星の至近距離にあり、惑星の表面温度は 1000 度以上にも達する灼熱の世界であることからそう呼ばれている。このような惑星は、太陽系の木星のように中心星から遠く離れたところで形成された後、原始惑星系円盤との相互作用や他の惑星との重力相互作用などによって中心星付近に移動してきたと考えられている。最近、ドップラーシフト法の観測精度向上に伴って、地球質量の 7 〜 20 倍程度の比較的軽い短周期惑星も見つかるようになってきた。また、短周期惑星はトランシットを起こす確率が高く、これを利用したサーベイも精力的に行われている。トランシットが検出されると、中心星の明るさの変化量から惑星の大きさがわかり、ドップラーシフト法から求められる質量と合わせて密度や内部構造を推定することができる。この中の 1 つ、 HD149026b は、土星の 1.2 倍の質量を持ちながら半径は土星の 0.9 倍、平均密度は土星の 1.7 倍という高密度の惑星である。この惑星には重元素が多く含まれていると考えられ、中心に約 70 地球質量の固体コアの存在が示唆されている。このような超巨大コアの形成過程はまだ解明されていない。このほか、トランシットを起こす惑星が中心星の背後に隠れたとき、系全体からの熱放射が惑星の分だけ減少することを利用して、 HD209458b と TrES‐1b では惑星からの赤外放射が検出された。

図 1 ドップラーシフト法の原理とベガスス座 51 番星の視線速度変化

 太陽系の惑星とは対照的に離心率が大きい惑星が多いのも太陽系外惑星の特徴である。これらの一群は「楕円軌道惑星 エキセントリック ・ プラネット )」と呼ばれている。短周期惑星は中心星からの潮汐力によって円軌道化されているが、約 0.1 天文単位以上の軌道半径を持つ惑星は楕円軌道の方がむしろ一般的であり、離心率は最も大きいもので 0.9 にも達する。楕円軌道惑星の起源としては、複数の惑星同士の重力散乱などが提案されている。太陽系に似た惑星系、つまり、中心星からある程度離れた距離をほぼ円軌道で周回する巨大惑星も見つかっているが、太陽系にそっくりな惑星系はまだ見つかっていない。

 複数の惑星からなる多重惑星系も数多く発見されている。このような惑星系は、速度変動に複数の周期成分があることから判明し、これまでに 2、 3、 4 重惑星系がそれぞれ 14、 4、 2 個知られている。軌道周期が 2 : 1 などの平均運動共鳴にある多重惑星系も見つかっており、惑星系の形成、進化の過程を理解するうえで重要な手がかりとなっている。

 このほか、ドップラーシフト法によって、連星系の一方の恒星を周回する惑星や進化の進んだ巨星の周りの惑星なども見つかっている。また、重力マイクロレンズ法や直接観測法でも惑星候補天体が検出され始めており、今後の進展が期待される。

 

【佐藤文衛 東京工業大学 グローバルエッジ研究院(2007年5月)】

図 2 トランシット法の原理と H209458 の光度変化