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  衛星はどのように発見されてきたのか
天文部「衛星の表」より
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理科年表 2022

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 地球の衛星である月は太古から知られているが、それ以外で惑星の周りを回る衛星が発見されたのは 1610 年のことである。イタリアの天文学者 Galileo Galilei は望遠鏡の発明のうわさを聞きつけ、自ら望遠鏡を製作して木星を観察し、木星の周りを回る 4 個の衛星を発見した。内側から、 Io、 Europa、 Ganymede、 Callisto と名付けられたこれらの衛星をまとめて、ガリレオ衛星という。

 

図 1 木星のガリレオ衛星 Io、 Europa、 Ganymede、 Callisto2005 年 4 月 16 日 21 時 39 分、石坂千春氏撮影
( http://www.sci-museum.kita.osaka.jp/~ishizaka/pics/ より転載 )

 

 17 世紀の後半には土星の衛星が 5 個発見されている。そのうちの 1 個はオランダの Christiaan Huygens が発見した Titan ( 1655 年 )、残りの 4 個はフランスの Giovanni Domenico Cassini ( 生まれはイタリア ) が発見した Iapetus ( 1671 年 )、 Rhea ( 1672 年 )、 Tethys ( 1684 年 )、 Dione ( 1684 年 ) である。

 以後、約 100 年間、衛星の発見はなかった。イギリスの Frederick William Herschel ( 生まれはドイツ ) は 1787 年に天王星の衛星 Titania と Oberon を、 1789 年には土星の衛星 Mimas と Enceladus をそれぞれ発見した。 18 世紀の衛星の発見はこの 4 個のみである。

 イギリスの William Lassell が 1846 年に海王星の衛星 Triton を、 1851 年に天王星の衛星 Arielと Umbriel を発見した。土星の衛星 Hyperion は 1848 年、アメリカの William Cranch Bond とその息子 George Phillips Bond が発見し、イギリスの William Lassell も独立に発見した。火星には 2 個の衛星 Phobos と Deimos があるが、それは 1877 年にアメリカの Asaph Hall が発見した。 1892年 には、アメリカの Edward Emerson Barnard が木星の 5 番目の衛星 Amalthea を発見し、 1898 年には、アメリカの William Henry Pickering が土星の 9 番目の衛星 Phoebe を発見した。 19 世紀の衛星の発見は以上の 8 個であった。

図 2 ( 上 ) 天王星と衛星 2006 年 9 月 1 日 21 時 56 分、小石川正弘氏撮影。
下 ) 海王星と衛星 2006 年 9 月 1 日 21 時 56 分、小石川正弘氏撮影。
(http://uchukan.satsumasendai.jp/data/gallery/planet/0609koisi-planets.html より転載 )

 

 1904 年から 1974 年までの間に望遠鏡を通した写真撮影により、木星の 6 番目から 13 番目までの 8 個の衛星が発見された。その間の 1948 〜 1949 年には天王星の 5 番目の衛星 Miranda と海王星の 2 番目の衛星 Nereid も発見されている。

 土星の Phoebe を発見した Pickering は 1905 年に土星の別の衛星を発見したと発表し、Themis と名付けたが、その衛星はその後、観測されることがなく、Pickering の誤報だったと考えられている。 1966 年は土星の環の消失が起こり、環の明るさに邪魔されずに暗い衛星が観測できる年であった。これは環を真横から見るために起こるもので約 15 年毎の現象である。フランスの Audouin Dollfus はこの時期を利用して新たな衛星を発見し、Janus と名付けた。同じ年に、アメリカの Richard Walker も同じ軌道を回っていると見られる衛星を発見した。しかし、それらは 1 つの衛星としては説明がつけられず、しばらく謎のままであった。 1978 年になって 1966 年の観測を再解析したアメリカの John W. Fountain と Stephen M. Larson が、それらは同じ軌道を回る 2 つの別の衛星であることを見出した。さらに、 1979 年から 1980 年にかけて行われた、地上および惑星探査機 Pioneer 11 号と Voyager 1 号の観測により、Fountain らの考えが正しいことが確認され、もう 1 つの衛星は Epimetheus と名付けられた。 1979 年には Voyager 1 号と 2 号により木星の衛星 3 個も新たに発見された。

 

図 3 2004 年にすばる望遠鏡で発見された土星の衛星 Bebhionn ( S/2004 S 11)。( http://www.ifa.hawaii.edu/~jewitt/satsatimages.html より転載 )

 

 1970 年代までに発見された衛星数は火星 2、木星 16、土星 11、天王星 5、海王星 2 になっていた。 1980 年代以後は、惑星探査機 Voyager や Cassini の他、ハワイ島の山頂に作られた国立天文台のすばる望遠鏡等の大望遠鏡を使って多数の衛星が発見されるようになった。 2007 年 11 月現在、軌道が定まって国際天文学連合 ( IAU ) によって確定番号が付けられた衛星の総数は火星 2、木星 49、土星 52、天王星 27、海王星 13 に達している。

  準惑星に分類されることになった冥王星の衛星は 1978 年に写真観測で 1 番目が、 2005 年に Hubble 宇宙望遠鏡により 2 番目と 3 番目が発見され、別の準惑星 Eris の衛星は 2005 年に波面補償光学装置 ( 大気の揺らぎを瞬時に補正する装置 ) を大型望遠鏡に装着して発見された。

 小惑星については、 1978 年に掩蔽 ( えんぺい、背後の天体を隠す現象 ) によって発見された第 532 番小惑星 Herculina の衛星を初めとして、現在では変光曲線の解析や、写真、レーダー観測等によって多数の衛星が発見されている。

 

【相馬 充 国立天文台・総研大(2008年 4月)】

 

図 4 2005 年に惑星探査機 Cassini で発見された土星の衛星 Daphnis (S/2005 S 1)。 土星の A 環内の Keeler の空隙内に発見された。
( http://saturn.jpl.nasa.gov/multimedia/images/image-details.cfm?imageID=1522 より転載 )