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 「天文学上のおもな発明発見と業績」の大改訂


理科年表 2022

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 2011 年版で「天文学上のおもな発明発見と業績」の大改訂を行った。今後の参考のために改訂の経緯を記録にとどめておく。大改訂の直接の理由は、他の分野に比べて天文分野では選択基準が厳しく、取り上げられている項目が格段に少ないので、選択基準を他分野と揃えたいと考えたことによる。その準備作業として、この項目が理科年表でどのように扱われて来たかを調査した。

 1925 年発行の初版には、「主ナ天文學上ノ発見」と題する 1 頁があり、そこには『-150 頃 歳差 ヒッパルクス(希)』から始まって、最新項目『 1906 「トロヤ」群小惑星「アキレス」 ウォルフ(獨)』まで 25 項目がある。それ以来毎年 1 頁が割り当てられ、新たな発見があるたびに付け加えられたことが伺える。ちなみに 1931 年版には、『 1930 海王星外ノ惑星「プルートー」トンボー(米)』が既にある。1941-43 年版ではこの頁は「附録」に移され、1944-1946 年は戦争の影響で理科年表は発行されなかった。復活した 1947 年版の最新項目は、『 1938 木星第X, 第XI衛星 ニコルソン(米)』である。

 1951 年版において本項は大改訂され、それまでの 1 頁から 2 頁となった。項目数も少し増え、もっとも古い項目が『-600 頃 サロス周期』となり、最新項目が『 1946 恒星の磁場 バブコック(米)』となった。以後この 2 頁の枠内で新しい項目が追加されていった。ところが、1964 年版で『 1957-8 人工衛星、人工惑星 ソ連, アメリカ』の項目が追加されて以降は新項目追加頻度が下がり 1973 年に「 1967 パルサー ヒュウイッシュ(イギリス)』が追加されて以来、1993 年まで 20 年間これが最新項目のままであった。筆者の一人、岡村がこの頁の担当になった 1994 年版から、近年の項目を新たに追加する作業が復活し、2 頁の範囲内での小改訂が 2010 年まで続いた。

 今回の大改訂においては、上述した、選択基準を揃えることに加えて、次のことを目標とした。まず第一に、簡潔すぎてわかりにくかった項目名の記述を改めた。次に、できるだけ文献調査を行って、文献に基づく年を発見年とした。これは 1994 年からの改訂の間に佐藤修二氏が書かれた解説(天文月報 2005 年 3 月号と 11 月号)に刺激を受けたことにもよる。最後に、必ずしも発明発見や業績とはいえないが、天文学に影響のあった大きな出来事も含めた。この方針の下で、18 世紀以前を中村、19 世紀以降を岡村が担当し、最後に両者で全体の検討をおこなった。筆者らはともに天文学史を専門に研究しているわけではないので、文献調査には一定の限界があった。18 世紀以前の項目のほとんど、とりわけ中世から古代の事柄を原典に当たることは不可能であった。また、19 世紀以降でも、文献調査は、ある程度広く知られている科学雑誌に限定された。その結果、たとえば、「宇宙電波の発見」の項目では、筆者が確認できた原著論文(Jansky 1933 , Nature 132 , 66 )は、一般に多くの文献で引用されている 1931 年と異なっていたが、当該論文において、その年号の根拠を確認できた。このような場合には、多数の文献で引用されている年号の方を採用した。原典調査にこのような一定の限界はあるものの、読者の参考のために、「理科年表オフィシャルサイト」には筆者らが調査した文献を掲げた。
天文学上の主な発明・発見と業績(PDFファイル)

近年の発見の多くは、大プロジェクトの結果、あるいは多くの人の独立な成果の集積の結果であることが多い。関係者の名前をどこまで含めるかは頭の痛い問題であったが、ここは筆者の独断で判断した。また、短期間で行った大作業であったため、十分注意したつもりだが、不備や誤りがないとはいえない。今後、新項目の追加とともに必要な場合には適切な改訂が行われることを期待する。

【岡村定矩 東京大学大学院/中村 士 放送大学】