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 生物部 DNAチップ

理科年表 平成30年
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 DNAチップとは多数のDNAまたはオリゴヌクレオチドの配列(プローブ)を数cm四方程度のガラスまたはシリコンなどの基板上に固定したものである.cDNAあるいは合成DNAを基板上にスポットし固定する方式(マイクロアレイ)とオリゴヌクレオチドを基板上で合成する方式があり,塩基配列が明らかになった生物種には後者の方式を採用できる.蛍光物質や放射性同位元素を用いて標識した試料RNA(ターゲット)とのハイブリダイゼーションにより,プローブと結合した標識物質の量を測定することにより遺伝子の発現量を検出するが,プローブの集積度や感度を上昇させる技術の進歩により検出精度や再現性も向上し,包括的な遺伝子発現情報解析の強力な手法として広く使用されている.従来,個別に解析していた生物情報を網羅的に高速に取得できる画期的な解析技術であり,遺伝子発現のみならず,塩基配列の多型やDNAの量的変異を同時に多数検出するためにも応用されている.DNAチップは生命システムの理解やモデル化のために今後広く使われてゆくものと考えられ,そこから生み出される大量データの解析には生物統計学やバイオインフォマティクス技術の活用が不可欠である.
 DNAチップは生命情報の解析手法としてのみならず,医療における応用も期待されている.腫瘍組織や疾病に罹患した組織の遺伝子発現プロファイル,すなわち遺伝子転写の状態の全貌を俯瞰することにより,分子レベルで新規な癌の分類・診断が可能となり,治療への応答性および予後に関してより正確な予測にもとづいた治療法の選択が期待される一方,新規な治療標的分子の同定も進められている.細菌やウイルスなどの病原体を同定する感染症診断のほか,薬剤の有効性,副作用の判定にも用いることが可能である.薬理ゲノミクスの立場から化学療法剤の開発において癌細胞株パネルを用いたプロファイリングにより感受性予測への応用が始められているほか,創薬のプロセスの初期に必要である新規創薬標的分子の同定あるいは検証に用いられている.

【 油谷浩幸 】


図:DNAチップ
光照射化学合成技術により作成される.