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  台風の強さ、大きさの階級分けの名称について(強い、非常に強い、猛烈な;大型、超大型)

理科年表 2019
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 気象庁は台風のおおよその勢力を示す目安として、理科年表の表のように風速 10 分間平均をもとに台風の「大きさ」と「強さ」を表現する。「大きさ」は「強風域 風速 15 m/s 以上の強い風が吹いているか、地形の影響などがない場合に吹く可能性のある範囲 」の半径で、「強さ」は「最大風速」で区分している。


 さらに、強風域の内側で風速 25 m/s 以上の風が吹いているか、地形の影響などがない場合に吹く可能性のある範囲を暴風域と呼ぶ。


 台風に関する情報の中では台風の大きさと強さを組み合わせて、「大型で強い台風」のように呼ぶ。この場合台風は、強風域の半径が 500 km 以上 800 km 未満で、中心付近の最大風速は 33 m/s 以上 44 m/s 未満で暴風域を伴っていることを表わす。なお、天気図上では暴風域を円形で示す。この円内は暴風がいつ吹いてもおかしくない範囲である。


 なお、日本では最大風速 17 m/s 以上が台風であるが、国際的には 33 m/s 以上の、日本の分類では「強い台風」以上をタイフーンと呼んでいる。アメリカのハリケーンの定義も同様であるのでテレビのニュースやインターネットを見るときなどには注意する必要がある。


 台風の位置や強さの測定は、戦後長い間グアム島の米軍基地の観測機に頼っていた。しかし、気象衛星が実用化され、その画像からハリケーンの雲の形、眼の大きさや明瞭度などから台風の強さを推定する技術「ドボラック法」が開発された。気象庁は 1977 年から静止気象衛星の運用を開始し、さらに台風用に改良したドボラック法を 1987 年から利用しており、地上および船舶の観測データやドボラック法による結果を総合的に検討して台風の強さを決めている。


 台風や熱帯低気圧の呼び方に大きな影響を与えたのが、 1999 年 8 月 14 日に神奈川県山北町で発生した水難事故である。玄倉川の中州でキャンプをしていた子供 6 人を含む客 18 人が「弱い熱帯低気圧」に伴う大雨による増水のため流され、子供 4 人を含む 13 人が死亡した。この事故が発生した年まで、気象庁は中心付近の最大風速が 17.2 m/s 以下の熱帯低気圧を「弱い熱帯低気圧」と呼び、また台風の強さを「弱い」「並の強さ」「強い」「非常に強い」「猛烈な」の 5 段階で、台風の大きさを「ごく小さい」「小型」「中型」「大型」「超大型」の 5 段階で表現していた。しかし「弱い」「小型」といった表現は大した影響が無いように誤解される可能性があり、防災上好ましくないということになった。そのため気象庁は事故の翌年 2000 年 6 月から「弱い熱帯低気圧」を単に「熱帯低気圧」と変え、台風の強さの「弱い」「並の強さ」、台風の大きさの「ごく小さい」「小型」「中型」の表現を廃止した。


 予報官が言い習わしていたように、「腐っても鯛 」、小さくても比較的弱くても台風や熱帯低気圧に油断は禁物である。

【山内豊太郎(2006年11月)】

【 参考文献 】
櫃間道夫 :完全図解 気象百科 』、p.78 〜 85、オーム社2004 )