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 序文
 理科年表 2019年版(序文)

 理科年表は私の学生時代から今日に至るまで,基礎の勉強に,観測装置の開発に,データ解析にと座右の書として活用してきました.理科年表の科学の全分野にわたる網羅性および大正14 年(1925)の創刊以来,長年にわたり収集した情報を整理・掲載しつつ,最新の生きた情報が供されていることはまさに驚異であり,わが国の高い学術レベルを示す一つの証左といえます.現在,国際版(英語版)の編集が進んでおり,理科年表は,日本から世界に発信するグローバルなデータブックに進化していくことでしょう.
 理科年表2019 各部には,徹底したチェックと改訂が加えられています.
 暦部のハイライトは,この1〜2 年の日食ラッシュです.なぜ日食が集中して発生するのかは,web 掲載の「日食の周期」をご覧ください.天文部の「太陽,惑星および月定数表」を見ると,木星の衛星数が大幅に増えており,メディアでも話題となりました.
 今年,関西方面を中心に大雨や台風が猛威をふるいました.気象部には30 年の平均値が掲載されていますので,平均値とどのくらい違いがあったのかを見ていただくことも可能です.
 年々暑く感じられる日本の夏ですが,ついに埼玉県熊谷市では国内観測史上最高気温41.1℃を記録し,最高気温上位3 位はすべて今年の記録となりました.トピックスでは,温暖化が生物にどのような影響を与えるのかを「温暖化による生物・生態系への影響」と題して詳しく解説しています.「生物季節観測平年値」によればアブラゼミの初鳴日は熊谷で7 月21 日とありますが,今後どのような推移があるか注視していくことも大事と思われます.
 いままで大きな地震がなかった北海道でも,ついに大きな被害が出てしまいました.日本にこれだけ地震が多いのも,火山噴火が毎年平均して5〜6 回発生しているのも,日本列島が特異な場所にあるからです.地学部では関連の情報を長年の蓄積されたデータとともに掲載し,視覚的にもわかりやすくなりました.
 このほか,物理/化学部では「超伝導体」や「紫外,可視,近赤外域のおもなスペクトル線の波長」を最新の情報に更新,生物部では「植物分類表」,「ヒト染色体の遺伝子地図」を大改訂し,環境部の「ヒト発がん物質と評価されたおもな化学物質・製造工程」も最新の情報に基づき更新しました.附録の「ノーベル賞受賞者・受賞理由」に,今年は本庶佑先生を加えることができました.心からお祝い申し上げます.
 理科年表は,情報だけでなくアイデアの宝庫です.また,自然科学の範疇を超えて,広く人間社会に役立つものとなっています.どうか日本の英知の結晶である理科年表を,皆様の仕事,研究,勉強などに広く役立ててください.

2018年10月

国立天文台 台長 常 田 佐 久